最近小物作りが楽しくて読書時間が減っています。
読めないかもしれないから借りた本を返すだけ。
と図書館へ行くのですが、読みたい本に出会い結局借りてきます。
先日『アウシュヴィッツのお針子』という本を読みました。
アウシュヴィッツにお針子ってどういう事?
アウシュヴィッツ・ダルケナウ絶滅収容所に
ナチス幹部家族らの服を仕立てるファッションサロンがあり、
囚人とされた女性達がお針子として衣服を仕立てた実話です。
アウシュヴィッツは教科書で見た知識しか私にはありません。
残忍で過酷な内容に感情が追いつかないまま読み進め、
訳者あとがきを読み終えて、ようやく感情が整理されました。
読了し思い出したのは祖父のこと。
中折れ帽を被りループタイをつけ、カッコよかった祖父。
小鳥が好きでたくさん飼っていて、初孫の私を可愛がってくれた優しい祖父。
祖母と母たち子供は、祖父が働かず苦労したそうですが、
私にはそんな祖父は想像が出来ませんでした。
戦争に行き、想像しがたい経験をしたのでしょう。
中学生の頃、多くを語らない祖父が話してくれました。
『敵と遭遇し戦わなければ生き残れないから仕方なかった。』という内容の話。
祖父が生き延びてくれて私が存在する。
亡き祖父に心の中でありがとうと伝えました。
『アウシュヴィッツのお針子』を読み、服に対する見方も変わりました。
恵まれた環境にいる私には、服は個性を表現したり、快適に過ごす機能を備えたもの。
本の中では『人としての尊厳を保つもの』であり、『差別されるもの』であり、
『政治的に利用されるもの』。
『衣・食・住』の『衣』の重さを以前より分かった気がします。
今私は好きな生地を選び、好きなモノを好きな人の為に作れる。
幸せな事です。
”歴史は繰り返す”ということばがあります。
現在の不穏な世界情勢を見るに、どうか同じ悲劇が繰り返されませんようにと心から祈らずにはいられません。
訳者の宇丹貴代実さんの言葉です。心に残ります。